東京地方裁判所 昭和52年(ワ)10332号 判決
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【判旨】
職権をもつて判断するに、離婚後の子の監護の費用の負担方法は、父母の協議又は家事審判(家事審判法九条一項乙類四号の子の監護に関する処分)により定めるべきものであり、その協議又は家事審判の後事情の変更があつて子の利益のため必要があるときは、再び父母の協議又は家事審判によりこれを変更することとするのが民法七六六条の趣旨であるから、通常裁判所は、父母の協議又は家事審判の定めを前提とする子の監護の費用の請求又はその法律構成を異にする金銭の給付請求につき判断することは格別、子の監護の費用の負担方法について争いがある場合にその負担方法自体を定め又は先決関係事項として判断することはできないものと解される。
ところで、原告は、請求原因2において、原・被告が協議上の離婚をしたとき、協議により、被告が未成熟の二人の子の監護をし、その費用を負担すると定めた旨、即ち、原告は子の監護をせず、監護の費用の負担もしないこととする旨定められたと主張する一方、請求原因3において、その後、原告が二人の子のうちの一人を事実上監護することになつたこと、即ち、右の協議の基礎とされた事情のうち子の利益に直接関わる監護の状態に重大な変更のあつたことを主張し、その事情の変更故に原告が支出した子の監護の費用に相当する額を被告の不当利得として返還を求めるというのであるが、このような事情の変更を前提とする請求である以上、子の監護の費用の負担方法について原被告間における新たな協議又は家事審判を経たことの主張を要する(当該要監護者が既に成人した場合における過去の監護の費用に関する請求の場合であつても、本件のように、まだ他にも未成熟の要監護者があることが主張から明らかなときは、その未成熟子の利益のためにも一層その必要性があるといわなければならない。)ものであるところ、原告は、右の事情変更後の子の監護の費用の負担方法について原・被告間の家事調停が成立するに至つていないと述べ、新たな協議又は家事審判を経たとの事実を主張しない。
そうすると、原告の本件訴は、その請求の当否の判断の先決関係事項として、右の事情変更後における原・被告間の子の監護の費用の負担方法についても判断を要することになるから、この点において不適法なものである。
(久保内卓亞)